2011年11月22日、この日は、忘年会の予定でした。1か月前に私が提案したもの。
被災から随分たって、そろそろ生活も落ち着いてきたみたいだから、ここらでバラバラになった人達が集まって、今一度、元気を出そう!って。
その時は、いいねー!って賛同を得た。
でも、予定の日が迫って、確認のため、メールを送ると誰からも返事が来ない。そのうちに、ある友人から、「ごめん、予定が入って、行けなくなった」と。
気になって、他のお返事がない友人に電話してみると、
「やっぱり、行けないわ。ごめんねー。夜になると体が震えるのよ。説明できないけど、どうにもならない」どうやら、精神的に参っている様子。
医者にも行って、薬ももらったみたいだけど、薬を飲むとぐっすり寝てしまうから、今度はそれが怖くて薬が飲めないそうです。
ぐっすり寝てしまっているうちに、又津波がきたらどうしようって。
彼女がいる仮設住宅は、ほんの少し(床下)だけだけど津波が来たところなので。
それから、別の人からは、「忘年会って、この年のことを忘れてはいけないと思う。それに、亡くなった人のことを思うと、お酒を飲んで楽しむことは申し訳ないから」って。
結局、とりあえず、キャンセルにしました。
こんなに深刻だとは思いませんでした。
昼間に会うと、みんな元気な様子なのに、夜個別に電話してみると、まるで別人。
中学校に避難して、窓ごしに、流されていく人達を見たり、ごく身近な人を失ったり、津波の中から生還したり、壮絶な経験をしたのだから、まだまだ時間がかかるよねー。
気になったのは、とっても明るい友人が、
「私なんか生きていちゃいけなかった。社会に役に立つ人が沢山なくなっちゃって。」なんて言ったこと。
大丈夫かなー、今度、昼間にお茶でもしようと思った。
少し後に、この友人と話をすると、本当にこの頃は精神的に参っていたらしい。
でも、家族を亡くした人やもっと大変な人がいるから、周りの人には話すことができなかったようで、結局彼女を救ったのは、タレントで女優の渡辺えりさんだったらしい。
多くの芸能人がTV局を連れて、被災地慰問をし、いい人をアピールしていたのに対して、彼女はある時突然とひっそりとプライベート で名取市の仮設住宅を訪問し、そこにたまたまいた私の友人に声をかけて様子を聞いたそうです。そして、携帯番号を交換し、いつでも私で良かったら話を聞くから電話してと。でもだからといって、まさか電話できるわけがない。と思ったら、時折、えりさんの方から、「どうしている?」と電話がかかってきたそう で、話を聞いてくれたようです。 誰かに話をすること、それも、何を話しても問題がない、第三者に話ができたことは良かったようです。渡辺えりさんには感謝です。
(つづく)