名取に行く前に友人に電話していた。
「まあ、佐宗ちゃん!」 思ったより元気そう。津波から避難して家族も無事とのこと。
でも、「あんた、何もないのよ、大変よ。全部なくなっちゃったんだから。まず、着るものがなくって」と。
あれ?そうなの?と思う。というのは、市のホームページでは、古着の支援物資はお断りしていた。実際に電話で市役所の職員に聞いてみると、体育館に古着が山積みされているから不要とのこと。
情報が行き渡っていないのか?どうなのか?今回、自分の目で確かめた。
市役所の1階には、ロビーとか、福祉課の窓口前あたりの廊下(?)に、それから、外の赤十字のテント前などに、古着がダンボールに入っていて、”ご自由 にお取りください”と書いてあった。でも、どれも、真冬のものばかり。セータとか、防寒具とか。あるいは、とても着られそうにない質の悪いものとか。
友人達は、口々に、「春物がないのよ」という。それから、大きな声で言えないけど、下着、特にブラジャーがないらしい。「これまでノーブラだったけど、これから少し暖かくなって、薄着になると困るわよねー」って。
生きるための最低限の衣類と、人間として、その季節にあった、人に会っても恥ずかしくない衣類は別物。確かに前者は、市役所職員の言う通り足りているようだけど、でも、津波で家を失っただけで、普通の人達。当然のことながら人間としての尊厳がある。
家ごと失ったということは、相当大変。何もないんだから。
季節の変わり目に少し衣類を買うだけで、簡単に1万円以上になる。これが、何もない、しかも家族全員何もない、となると大変。どんなにお金があっても足りない。仕事も失っていたらなおさら大変。
これはなんとかしなくっちゃ。
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